中間ストーリー
デザット砂漠とクッバ城付近の平原の境目
悪男
「またしても‥‥‥またしても俺が負けるとは‥‥‥」
悪男と正男の戦いは悪男の劣勢であった。
戦況は一見巨大ロボを操縦する悪男の優勢に思われたが、
正男は悪男の操縦するロボットからの攻撃を素早い身のこなしで避け続けた。
対して悪男のロボットは大きいがゆえに動きが遅く、連続的に攻撃を当てるのは実質不可能だったのである。
戦況は一見巨大ロボを操縦する悪男の優勢に思われたが、
正男は悪男の操縦するロボットからの攻撃を素早い身のこなしで避け続けた。
対して悪男のロボットは大きいがゆえに動きが遅く、連続的に攻撃を当てるのは実質不可能だったのである。
正男
「…所詮魔法や機械の力に頼ったとしても、俺達には勝てっこないってことさ。」
悪男
「くそ……」
悪男は再び「負け」を宣告されたのであった。
悪男
「2度も任務に失敗した俺をクッバ様はただじゃ放っておかねぇ…」
悪男
「俺はこれからどうすればいいんだ‥‥‥」
今まで散々な目にあった相手だが、
やはり元クラスメイト同士ということで正男も放っておけなかったのか、
正男はある提案をすることで悪男を元気づけることにした。
やはり元クラスメイト同士ということで正男も放っておけなかったのか、
正男はある提案をすることで悪男を元気づけることにした。
正男
「‥‥‥悪男。
‥‥‥お前にどこも行く当てがないのなら俺たちの仲間にならないか…?」
‥‥‥お前にどこも行く当てがないのなら俺たちの仲間にならないか…?」
浩二&カルラ&キノヒオ
「!」
浩二
(正気かよ!?兄さん!)
カルラ
(このまま彼は放っておいた方がいいんじゃない?)
キノヒオ
(さっきまで敵だった人を仲間に入れるなんて…そんなの無茶です!
第一…悪男さんは今まで散々私たちの邪魔ばっかしてきた人ですよ!それなのに…)
第一…悪男さんは今まで散々私たちの邪魔ばっかしてきた人ですよ!それなのに…)
正男
(‥‥‥シッ。悪男をよく見てみろ。)
悪男
「ぐぬぬ…お、お前の仲間になるくらいなら‥‥‥俺は修行の旅に出る!
そして…い、いつかお前に勝利してみせる!
正男!今度会ったときは…覚悟しておくんだな!!」
そして…い、いつかお前に勝利してみせる!
正男!今度会ったときは…覚悟しておくんだな!!」
そう言うと、悪男はとっとと去って行った。
正男
「おう!その時は覚えとくぜ。」
(‥‥‥それでこそ、悪男だ。)
(‥‥‥それでこそ、悪男だ。)
カルラ
「さて…そろそろ車に乗るわよ。」
キノヒオ
「そして…クッバ城まで向かいましょう!」
こうして正男たちの旅は順調に進んでいたかのように思えた。
…しかしそのことはやはりクッバの耳にも入っていた。
…しかしそのことはやはりクッバの耳にも入っていた。
クッバ城 謁見の間
ここ「謁見の間」はクッバ城のなかで最上階にあり、常におびただしい雰囲気を放っている。
「謁見の間」の中心には王座があり、そこで威厳ある態度で座っているのはクッバである。
現在、クッバは部下からある報告について淡々と聞いていた。
クッバ?
‥‥なるほど。悪男が任務に失敗したか。
クロード
「悪男について…いかがなさいましょうか?」
クッバへ報告を行っていたのはクロード。
片方の目が赤く、青白い顔をしている。そしてなぜか常にトランプを持ち歩いている男だ。
片方の目が赤く、青白い顔をしている。そしてなぜか常にトランプを持ち歩いている男だ。
クッバ?
悪男も所詮捨て駒だ。
奴がいなくなったところで戦力は大して変わらん。
…ところで悪男を倒した「正男」とやらは今どこに向かっている?
奴がいなくなったところで戦力は大して変わらん。
…ところで悪男を倒した「正男」とやらは今どこに向かっている?
クロード
「諜報部隊によれば正男は今
この城に向かっているとか。」
この城に向かっているとか。」
クッバ?
何だと?
クロード
「しかし…ご安心ください。
この城は『魂の狩人』と呼ばれる男、
アクガルによって守られています。」
この城は『魂の狩人』と呼ばれる男、
アクガルによって守られています。」
???
「その通り…。余がいる限り城の心配はいらない…。」
その声がした後、謁見の間の扉が静かに開き、長髪の男が中に入ってきた。
クッバ?
クロード、この者が…。
クロード
「アクガルでございます。」
アクガル
「余の名はアクガル…。
生者から魂を抜き取ることを糧としている。
余にかかれば…生きとし生けるものどんな奴でも
必ず死に至らせることができる。」
生者から魂を抜き取ることを糧としている。
余にかかれば…生きとし生けるものどんな奴でも
必ず死に至らせることができる。」
アクガルの言葉には自信があった。
それは今まで狙った獲物は必ず仕留めた、ということを暗に意味しているのであろう。
クッバはその自信を感じ取り、安心しこう言った。
それは今まで狙った獲物は必ず仕留めた、ということを暗に意味しているのであろう。
クッバはその自信を感じ取り、安心しこう言った。
クッバ?
これは頼もしいな。
ではアクガル、引き続き城の警備を任せるぞ。
ではアクガル、引き続き城の警備を任せるぞ。
アクガル
「仰せのままに。」
アクガルは謁見の間から静かに出ていった。
――視点は再び正男たちに戻る。
数時間後
車が停止したことに気づき、正男はカルラに質問した。
正男
「カルラ‥‥‥もう着いたのか?」
カルラ
「…着いたわよ。クッバ城に。」
クッバ城 城門前
正男たちは車窓から外を覗き、クッバ城の巨大な城門があるのが見えた。
門は木製のようだが、城の雰囲気もあいまって触れると冷たそうに思われた。
門番が二名、門の両脇に立っていたが、二人とも一切表情を変えなかった。
門は木製のようだが、城の雰囲気もあいまって触れると冷たそうに思われた。
門番が二名、門の両脇に立っていたが、二人とも一切表情を変えなかった。
正男たちは車の中にいてもしょうがないのでとりあえず降りた。
正男
「なんなんだこの城…
…何だかとてつもない邪気を感じるぜ…。」
…何だかとてつもない邪気を感じるぜ…。」
浩二
「予想してたところより結構やばそうなところだね…。」
正男
「‥‥‥城のことはいいとして、
どうする?
クッバ城に来たのはいいとしてまず城に入れるかどうか…」
どうする?
クッバ城に来たのはいいとしてまず城に入れるかどうか…」
キノヒオ
「ちょっと私があそこの門番さんに入れるかどうか聞いて来ますね。」
正男
「キノヒオ…頼んだ‥‥‥!」
キノヒオは少し残念そうな顔をして戻ってきた。
キノヒオ
「やはり駄目みたいでした…。
なんか今はどうしても!城に入ることは許されないみたいです‥‥‥。」
なんか今はどうしても!城に入ることは許されないみたいです‥‥‥。」
キノヒオの言葉を聞くまでもなく正男たちはなんとなく予想はついていた。
だが正男はひらめいたようだ。
だが正男はひらめいたようだ。
正男
「‥‥‥。
…とりあえず俺思いついたんだが。」
…とりあえず俺思いついたんだが。」
浩二
「何を?」
正男
「城への潜入方法だよ!」
正男の迂闊な言動に門番たちの視線が冷たくのしかかった。
キノヒオ
(正男さん!声が大きいですよ!)
正男
「あーーーすまんすまん。」
カルラ
「…とりあえず向こうで話しましょう。」
クッバ城前 平原
正男
「うーんでは改めてオッホン!
俺思いついたんだが
夜に攻めるのはどうだ?」
俺思いついたんだが
夜に攻めるのはどうだ?」
浩二
「夜かー。
まあ夜だからと言って警備が薄くなることは無いだろうけど。」
(ビーチ城とは違って)
まあ夜だからと言って警備が薄くなることは無いだろうけど。」
(ビーチ城とは違って)
キノヒオ
(ガーン)
カルラ
「いや…意外といけるかも…。
確かクッバ城では『早寝早起き』を奨励していたと思うから。」
確かクッバ城では『早寝早起き』を奨励していたと思うから。」
浩二
(なんで早寝早起きを奨励するんだろう…
よっぽど攻められない自信があるのかな‥‥‥?)
よっぽど攻められない自信があるのかな‥‥‥?)
正男
「まぁ…そういうわけで夜、具体的には深夜に攻めるとするかぁ!
ちょうどここでは野宿できそうだし。」
ちょうどここでは野宿できそうだし。」
カルラ
「そうね。
そうしましょう。」
そうしましょう。」
夜
正男たちは寝静まっています。
キノヒオ
zzzzz.....
カルラ
zzzzz............
浩二
zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz.......
正男
ZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZ.......
正男の夢の中
???
「正男…正男や…」
正男
「んぁー‥‥‥?
誰の声だ‥‥‥?」
誰の声だ‥‥‥?」
???
「わしはおぬしの先祖じゃ。」
正男
「へ?せんぞ?」
正男
「先祖にしちゃあ‥
‥‥なんか俺とあまり服と変わらない気がするし…」
‥‥なんか俺とあまり服と変わらない気がするし…」
正男
「なんで顔の部分だけ黒いんだ?そもそも何歳?
顔だけを隠す必要があるのか?もしかして……」
顔だけを隠す必要があるのか?もしかして……」
正男の先祖
「とにかく!!
わしはお前の先祖じゃ!
いいな!」
わしはお前の先祖じゃ!
いいな!」
正男
「はぁ…まあいいか。」
正男
「ところで俺のご先祖様が
一体何の用なんだ…?」
一体何の用なんだ…?」
正男の先祖
「うむ。
わしがなぜわざわざおぬしの夢のなかまで来たのか教えようとするかの。」
わしがなぜわざわざおぬしの夢のなかまで来たのか教えようとするかの。」
正男
「早く教えろやじじい。」
正男の先祖
「言葉遣いが悪いの…そんなやつにはげんこつじゃ。」
(ポカッ)
(ポカッ)
正男
「いてっ!
何すんだよ!?」
何すんだよ!?」
正男の額に赤いたんこぶができた。
正男の先祖
「まあそれはいいとして‥‥‥正男。
お主は今ビーチ姫とやらを助けにクッバ城に攻めに行くつもりじゃろ。」
お主は今ビーチ姫とやらを助けにクッバ城に攻めに行くつもりじゃろ。」
正男
「おう!
その通りだぜ!」
その通りだぜ!」
正男の先祖
「忠告…というよりはむしろ警告しておこう‥‥‥
ビーチ姫を助けに行ってはならん。」
ビーチ姫を助けに行ってはならん。」
正男
「へ?
‥‥‥なんでだよ!姫がさらわれたことによって
国が今混乱状態にあるのを知らないのか?‥‥‥
といってもご先祖様は知らんか。」
‥‥‥なんでだよ!姫がさらわれたことによって
国が今混乱状態にあるのを知らないのか?‥‥‥
といってもご先祖様は知らんか。」
正男の先祖
「…理由は今は話せないのう‥
…しかし、ビーチ姫を助けに行ってはならん。
これだけは言えるのじゃ。」
…しかし、ビーチ姫を助けに行ってはならん。
これだけは言えるのじゃ。」
正男
「な…意味分かんねえよ!
じゃあこのまま見過ごせってのか!!
そんなの冗談じゃねえよ!!!」
じゃあこのまま見過ごせってのか!!
そんなの冗談じゃねえよ!!!」
正男は自分がなぜここまで本気になっているのか分からなかった。
考えてみれば正男が別に助けに行かなくても普通は警察や他の誰かがやってくれるのかもしれない。
考えてみれば正男が別に助けに行かなくても普通は警察や他の誰かがやってくれるのかもしれない。
しかし…正男は考えるよりも行動が先の男である。
本能的に…彼は見過ごせないのだ。人が困っているのを。
本能的に…彼は見過ごせないのだ。人が困っているのを。
正男の先祖
「…今は話せないが‥その決断が必ずお主も…お主の仲間も…
そしてビーチ姫も不幸にする。
正男、わしが言えることはこれだけじゃ。
‥‥‥ということで」
そしてビーチ姫も不幸にする。
正男、わしが言えることはこれだけじゃ。
‥‥‥ということで」
正男の先祖
「さらばじゃ!!!」
その瞬間…正男の先祖は穴が開いた風船のように飛んで行ってしまった。
正男
「あっ!
待ってくれ!
俺にはまだ聞きたいことがッ…!」
待ってくれ!
俺にはまだ聞きたいことがッ…!」
正男が自分の先祖と話すのはこれが最初で最後になる。
正男はまだ気づいていなかった。
この忠告を無視したことが…後の誤りになることを。
正男
「‥‥‥‥‥‥」
正男
「はっ!」
正男は夢から覚めた。
浩二
「あれっ。兄さんが僕より早く起きるとは。
珍しいね。」
珍しいね。」
正男
(今のは…夢?)
その後、カルラやキノヒオも目を覚ました。
時刻はそろそろ午前零時を切るころになる。
カルラ
「クッバ城の門番はもうぐっすりと眠っているでしょうね…。」
キノヒオ
「それではクッバ城に攻めに行きましょう!正男さん!」
正男
「お…おう。」
浩二
(兄さん‥‥‥?)
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